
WordPressでサイトを作成する際、「ドメインって何?」「どうやって設定するの?」と疑問を感じる方も多いでしょう。ドメインはインターネット上の住所のようなもので、WordPressサイトの成功に欠かせない要素です。
この記事では、WordPressでのドメイン設定方法から、無料ドメインと有料ドメインの違い、実際の設定手順まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。最後までお読みいただければ、自信を持ってWordPressサイトを立ち上げることができるでしょう。
WordPressとドメインの基本を理解しよう
WordPressでサイトを始めるには、まずドメインとサーバーの関係を理解することが重要です。これらの基本概念を押さえておくことで、今後のサイト運営がスムーズになります。
WordPressとは?サーバーとの関係性
WordPressは、ウェブサイトを簡単に作成・管理できるCMS(コンテンツ管理システム)です。世界中のウェブサイトの43%以上がWordPressで構築されており(2025年7月現在)、ブログから企業サイト、ECサイトまで幅広く活用されています。
一方、サーバーはインターネット上でデータを保存し、ウェブサイトを公開するためのコンピューターです。WordPressはあくまでサイト作成のためのソフトウェアであり、実際に動作させるためにはサーバーが必要になります。
つまり、WordPressはサイトの「中身」を作るツールで、サーバーはその「置き場所」と考えると分かりやすいでしょう。
ドメインとは?インターネット上の住所
ドメインとは、インターネット上でサイトの場所を示す「住所」のような役割を果たします。例えばexample.com
やyoursite.jp
といった文字列がドメインです。
現実世界で手紙を送る際に住所が必要なように、インターネット上でも訪問者があなたのサイトにアクセスするためには、ドメインという住所が必要になります。ブラウザのアドレスバーにドメインを入力することで、目的のサイトにたどり着けるのです。
ドメインは世界中で唯一無二の存在であり、同じドメインを複数の人が使用することはできません。
WordPressにドメインが必要な理由
WordPressサイトを公開するためには、必ずドメインが必要です。SNSや無料ブログサービスとは異なり、WordPressでは自分でドメインを用意する必要があります。
ドメインがなければ、せっかく作成したサイトも誰にも見てもらうことができません。また、ドメインはサイトの信頼性やブランドイメージにも大きく影響するため、慎重に選択することが重要です。
さらに、独自ドメインを使用することで、SEO効果の向上やサイトの移転時の柔軟性も得られます。
無料ドメインと有料ドメインの違いを知ろう
ドメインには「無料」と「有料」の2種類があります。それぞれの特徴を理解して、あなたのサイトの目的に合った選択をしましょう。
無料ドメインの種類と特徴
無料ドメインは、コストをかけずにサイトを始められる魅力的な選択肢です。主に以下のような種類があります。
サブドメイン形式
WordPress.comが提供するyourname.wordpress.com
のような形式です。サービス提供者のドメインの一部を借りて使用します。
無料ドメインサービス
一部のサービスでは「.tk」「.ml」「.cf」などの無料ドメインを提供しています。これらは完全に独立したドメインですが、信頼性の面で課題があります。
レンタルサーバー付属
一部のレンタルサーバーでは、契約期間中に限り無料でドメインを提供しています。
有料ドメインとの詳細比較
無料ドメインと有料ドメインの違いを詳しく見てみましょう。有料ドメインは初期投資が必要ですが、長期的にサイトを運営する場合は、その投資に見合う価値があります。
項目 | 無料ドメイン | 有料ドメイン |
---|---|---|
年間費用 | 0円〜 | 1,000円〜5,000円程度 |
信頼性 | 低い | 高い |
SEO効果 | 限定的 | 高い |
自由度 | 制限多数 | 高い |
商用利用 | 制限あり | 自由 |
移転性 | 困難 | 容易 |
ブランド構築 | 困難 | 可能 |
無料ドメインの代表例とその特徴
代表的な無料ドメインサービスとその特徴をご紹介します。
WordPress.com
最も人気の高い無料ドメインサービスです。yourname.wordpress.com
形式で、WordPressの公式サービスならではの安定性があります。
Wix
username.wixsite.com
形式で提供され、直感的なサイト作成ツールと組み合わせて利用できます。
FC2ブログ
yourname.blog.fc2.com
形式で、日本国内で長年愛用されているサービスです。
これらはすべてサブドメイン形式であり、完全な独自ドメインではない点に注意が必要です。
WordPress.comで無料ドメインを取得する方法
WordPress.comは、WordPressの公式サービスで、無料でサイトを始められる最も手軽な方法の一つです。詳しい手順を見ていきましょう。
WordPress.comアカウントの作成手順
WordPress.comでサイトを作成する手順は以下の通りです。
- WordPress.com公式サイト(
https://wordpress.com/ja/
)にアクセス - 「サイトを作成」ボタンをクリック
- メールアドレスとパスワードを設定
- サイトの名前を決定
- 無料ドメインを選択(例:
myblog.wordpress.com
)
無料ドメインの設定とカスタマイズ
WordPress.comでは、サイト名に基づいて自動的にドメインが提案されます。気に入らない場合は、利用可能な別の名前を選択することも可能です。
サイト作成後は、テーマの選択や基本設定の調整を行います。無料プランでも多くのテーマが利用でき、基本的なカスタマイズは十分に行えます。
制限事項と注意点
WordPress.comの無料プランには、以下のような制限があります。
- 独自ドメインは使用不可
- プラグインのインストール不可
- テーマのカスタマイズに制限
- 広告が表示される場合がある
- ストレージ容量の制限
これらの制限を理解した上で、サイトの目的に適しているかを判断しましょう。
独自ドメインの取得と設定方法
より本格的なサイト運営を目指す場合は、独自ドメインの取得を検討しましょう。ここでは、独自ドメインの取得から設定までの流れを詳しく解説します。
ドメイン取得サービスの選び方
独自ドメインを取得できるサービスは数多くありますが、以下の点を考慮して選択することが重要です。
価格の透明性
初年度の料金だけでなく、更新料金も事前に確認しておきましょう。サービスによって大きく差がある場合があります。
サポート体制
日本語サポートが充実しているか、対応時間や方法を確認しておくと安心です。
管理画面の使いやすさ
ドメインの設定変更や更新手続きが簡単に行えるかも重要な要素です。
人気のドメイン取得サービス比較
主要なドメイン取得サービスの特徴を比較してみましょう。
お名前.com
日本最大級のドメイン取得サービスで、豊富なドメイン種類と充実したサポートが特徴です。
ムームードメイン
GMOペパボが運営するサービスで、分かりやすい管理画面と手頃な価格が魅力です。
エックスドメイン
エックスサーバーと連携しやすく、WordPressとの相性も良好です。
バリュードメイン
価格重視の方におすすめで、基本的な機能は十分に揃っています。
ドメイン設定の具体的手順
独自ドメインを取得したら、以下の手順でWordPressサイトに設定します。
- DNS設定の変更
取得したドメインのDNS設定を、利用するサーバーに向けて変更します。 - サーバー側でのドメイン設定
サーバーの管理画面で、取得したドメインを追加・設定します。 - WordPressの設定変更
WordPressの管理画面で、サイトURLを新しいドメインに変更します。 - SSL証明書の設定
セキュリティ向上のため、SSL証明書を設定して「https化」を行います。
これらの設定は、利用するサーバーによって具体的な手順が異なるため、各サービスのマニュアルを参照しながら進めることをおすすめします。
エックスサーバーでの実例
ここでは特に利用者の多い「エックスサーバー」を例に、具体的な設定の流れをご紹介します。エックスサーバーでドメインも一緒に申し込んだ場合、初心者にとって最もつまずきやすいDNS設定(ネームサーバーの変更)が自動で行われるため、非常に簡単です。
- まず、管理画面「サーバーパネル」にログインし、「ドメイン設定」メニューから取得したドメインを追加します。この時に「無料独自SSL」も忘れずに有効にしましょう。
- 次に「WordPress簡単インストール」機能を使えば、サイト名やパスワードなど必要な情報を入力するだけで、WordPressが自動で設置されます。
- 最後にWordPress管理画面の「設定」→「一般」を開き、サイトのURL(例:
https://example.com
)が正しく表示されていれば、すべての設定は完了です。
このように、多くのレンタルサーバーでは、初心者の方が迷わず設定を終えられるようなサポート機能が充実しています。
レンタルサーバーとドメインの連携設定
WordPressサイトを運営するには、ドメインとサーバーを適切に連携させる必要があります。この設定が正しく行われないと、サイトが表示されません。
DNSレコードとは?
まず、DNSレコードとは、ドメイン名に関する様々な情報を記述したデータのことです。インターネット上の住所録のような役割を持つDNSサーバーにこの情報を登録することで、「このドメインにアクセスが来たら、このサーバーにつないでください」といった指示ができるようになります。その中でも、特に重要で基本的な3つのレコードが「Aレコード」「CNAMEレコード」「MXレコード」です。
Aレコード:ドメインとサーバーを直接つなぐ
Aレコードは、ドメイン名とサーバーのIPアドレス(IPv4)を直接紐付ける、最も基本的なレコードです。
役割:
ドメイン名(例: example.com
)を、サーバーの住所であるIPアドレス(例: 192.0.2.1
)に対応させます。ユーザーがブラウザにドメイン名を入力した際、このAレコードの情報をもとに目的のサーバーを見つけ出し、Webサイトが表示されます。
具体的な使用例:
- レンタルサーバーを契約し、そのサーバーに独自ドメインで作成したWebサイトを公開する時。サーバー会社から指定されたIPアドレスをAレコードに設定します。
- 社内に設置したサーバーで、特定のサービスを公開する時。
補足:AAAA(クアッドエー)レコード
Aレコードが「IPv4」という形式のIPアドレスに対応するのに対し、新しい形式である「IPv6」に対応するのがAAAAレコードです。近年、IPv6の普及に伴い、AAAAレコードを設定するケースも増えています。
CNAMEレコード:ドメインに別名(エイリアス)をつける
CNAME(Canonical Name=正規名)レコードは、あるドメイン名を別のドメイン名の「別名(エイリアス)」として登録するためのレコードです。IPアドレスではなく、別のドメイン名を指し示すのが特徴です。
役割:
例えば、www.example.com
へのアクセスを、example.com
に転送したい場合に使います。これにより、どちらのURLでアクセスしても同じWebサイトを表示させることができます。
具体的な使用例:
www
のあり・なしを統一する:www.example.com
のCNAMEレコードとしてexample.com
を登録しておけば、IPアドレスの変更があった場合もexample.com
のAレコードを1つ修正するだけで済み、管理が楽になります。- 外部サービスを利用する: ShopifyやWix、その他多くのSaaS型サービスで独自ドメインを利用する際、そのサービスから指定されたドメインにCNAMEレコードで接続することがよくあります。
注意点:
CNAMEを設定したドメイン名(例: www.example.com
)には、原則としてMXレコードなど他の種類のレコードを登録できないという重要なルールがあります。
MXレコード:メールの配送先を指定する
MX(Mail Exchanger)レコードは、そのドメイン宛てのメールをどのメールサーバーが受信するかを指定するための、メール専用のレコードです。
役割:
taro@example.com
宛てにメールが送られた際に、MXレコードに登録されているメールサーバー(例: mail.example.com
)にメールが配送されるようにします。Webサーバーとメールサーバーが別の場合でも、正しくメールを届けることができます。
優先順位(Priority):
MXレコードには「優先順位」を設定できます。これは数字で表され、値が小さいほど優先度が高くなります。複数のメールサーバーを登録し、メインのサーバーがダウンした際に予備のサーバーでメールを受信するといった冗長構成を組むことが可能です。
具体的な使用例:
- 外部のメールサービスを利用する: Google WorkspaceやMicrosoft 365といったクラウド型のメールサービスを利用する場合、各サービスから指定されたMXレコードと優先順位を設定します。
サーバー側でのドメイン設定
レンタルサーバーでは、管理画面からドメインを追加・設定できます。一般的な手順は以下の通りです。
- サーバーの管理画面にログイン
- ドメイン設定メニューにアクセス
- 新しいドメインを追加
- 必要に応じてサブドメインの設定
- SSL証明書の設定
多くのレンタルサーバーでは、この設定を自動化する機能が提供されており、初心者でも簡単に設定できるようになっています。
WordPressでのURL設定変更
WordPressの管理画面で、サイトのURLを新しいドメインに変更する手順です。
- WordPress管理画面にログイン
- 「設定」→「一般」を選択
WordPressアドレス(URL)
を新しいドメインに変更サイトアドレス(URL)
も同様に変更- 変更を保存
※この設定を変更する際は、事前にバックアップを取っておくことをおすすめします。
無料ドメインから独自ドメインへの移行方法
サイトが成長してきたら、無料ドメインから独自ドメインへの移行を検討しましょう。適切な移行により、SEO効果の向上やブランド力の強化が期待できます。
移行のタイミングと判断基準
以下のような状況になったら、独自ドメインへの移行を検討するタイミングです。
アクセス数の増加
月間1,000PV以上のアクセスがある場合、独自ドメインの投資効果が期待できます。
収益化の開始
アフィリエイトや広告収入を得る場合、独自ドメインの方が信頼性が高く、収益向上につながります。
ブランド構築の必要性
企業サイトや個人ブランドを構築する場合、独自ドメインは必須といえるでしょう。
移行作業の具体的手順
無料ドメインから独自ドメインへの移行は、以下の手順で行います。
- 独自ドメインの取得
前述の方法で独自ドメインを取得します。 - サーバーの準備
必要に応じて、新しいサーバーの契約を行います。 - WordPressデータのバックアップ
既存のサイトデータを完全にバックアップします。 - 新環境でのWordPressインストール
新しいドメインでWordPressを設置します。 - データの移行
バックアップしたデータを新環境に復元します。 - リダイレクト設定
旧URLから新URLへの転送設定を行います。
SEO効果を最大化する移行テクニック
移行時のSEO効果を最大化するためには、以下の点に注意が必要です。
301リダイレクトの設定
旧URLから新URLへの恒久的な転送設定(301リダイレクト
)を行います。これにより、検索エンジンの評価を新しいドメインに引き継げます。
Googleサーチコンソールでの変更届出
Googleサーチコンソールで、ドメイン変更を正式に届け出ます。
サイトマップの再送信
新しいドメインのサイトマップを検索エンジンに送信します。
内部リンクの修正
サイト内のリンクを新しいドメインに変更します。
これらの作業を丁寧に行うことで、SEO効果の損失を最小限に抑えられます。
ドメイン設定のトラブルシューティング
ドメイン設定では、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。主要なトラブルとその解決方法をご紹介します。
よくある設定エラーとその対処法
DNS設定の反映遅延
DNS設定の変更が世界中のネットワークに反映されるまでには、数時間から最大で72時間ほどかかる場合があります。設定後すぐにサイトが表示されなくても、しばらく待ってから確認しましょう。
SSL証明書のエラー
「この接続ではプライバシーが保護されません」というエラーが表示される場合、SSL証明書の設定に問題がある可能性があります。サーバーの管理画面でSSL設定を確認してください。
WordPressの設定ミス
WordPressの一般設定でURLを誤って変更した場合、サイトにアクセスできなくなることがあります。この場合は、データベースを直接編集するか、FTPでファイルをアップロードして修正する必要があります。
サポートの活用方法
トラブルが発生した場合は、以下のサポートを活用しましょう。
サーバー会社のサポート
レンタルサーバーの多くは、電話やメールでのサポートを提供しています。設定に関する質問は、遠慮なく問い合わせましょう。
WordPressコミュニティ
WordPressの公式フォーラムや日本のコミュニティでは、多くの経験者が質問に答えてくれます。
専門業者への依頼
複雑な設定や移行作業は、専門業者に依頼することも検討しましょう。費用はかかりますが、確実に作業を完了できます。
予防策とメンテナンス
トラブルを防ぐためには、定期的なメンテナンスが重要です。
定期的なバックアップ
サイトデータとデータベースの定期的なバックアップを行いましょう。
ドメイン更新の管理
ドメインの更新期限を管理し、期限切れを防ぎましょう。
セキュリティの強化
WordPressやプラグインの更新、強固なパスワードの設定を行いましょう。
まとめ



WordPressでのドメイン設定は、サイト運営の基礎となる重要な作業です。無料ドメインから始めて、サイトの成長に合わせて独自ドメインへ移行するという段階的なアプローチが、初心者の方には特におすすめです。
ドメイン設定では、DNS設定やWordPressの設定変更など、技術的な作業が必要になりますが、最近のレンタルサーバーでは自動化が進んでおり、初心者でも比較的簡単に設定できるようになっています。
重要なのは、あなたのサイトの目的と将来の展望を明確にして、それに適したドメインを選択することです。本記事を参考に、ぜひ素晴らしいWordPressサイトを構築してください。