
この記事では、Linux初心者でも迷わず進められるよう、WordPressのインストール方法を一から丁寧に解説します。
サーバーの選定、LAMP環境構築、WordPressの設定、セキュリティ対策まで徹底解説。トラブル時の対処法も紹介するので、最後まで読めば安心して構築に挑めます。
WordPressをLinuxにインストールする前に知っておきたいこと
WordPressをLinux環境に導入するには、最初に理解しておくべき基本的な要素があります。
「サーバーとは何か?」「LAMPって何の略?」といった基礎用語も押さえた上で、適切な準備を整えましょう。
このセクションを読めば、今後の作業の流れがスムーズに見えてきます。
Linuxでの運用に必要な要件(2025年6月現在)
WordPressを正常に動作させるには、以下のような環境構成が必要です。
- Webサーバー:Apache または Nginx(初心者はApache推奨)
- PHP:バージョン8.0以上(WordPress公式推奨)
- データベース:MySQLまたはMariaDB(互換性あり)
Linuxの中でも特に人気なのがUbuntuです。理由は以下の通りです:
- 初心者向けの情報が豊富
- パッケージ管理が簡単(APT)
- 大手クラウドサービスでの採用実績が高い
これから始めるなら、Ubuntu 22.04 LTSをベースにするのが無難です。
サーバー環境の選定について
「どこにインストールするのか?」という選択も重要です。
以下の3つから、自分の目的とスキルに合った環境を選びましょう。
環境 | 特徴 | 向いている人 |
---|---|---|
ローカル(PC) | 無料、動作確認用 | 学習目的、テスト用 |
VPS | 高速、自由度高い | ブログ運営を始めたい人 |
クラウド | スケーラブル、自動化しやすい | 本格的にサービス開発したい人 |
例として、ConoHa VPSは管理画面がわかりやすく、初期費用も安いため初心者に人気です。
LAMP環境の構築手順(Ubuntuの場合)
WordPressはPHPで書かれているCMS(コンテンツ管理システム)であり、PHPを処理できるWebサーバーと、MySQLなどのデータベースが必須です。
これらをまとめて「LAMP」と呼びます。ここではUbuntuでLAMP環境を構築する手順を、順を追って解説します。
Apacheのインストール
まずはWebサーバーとなるApacheを導入します。
sudo apt update sudo apt install apache2
ブラウザで以下にアクセスしてみましょう。
- ローカルの場合:
http://localhost
- VPSなどの場合:
http://あなたのIPアドレス
“It works!”と表示されればApacheの起動成功です。
MySQLのインストール
次にデータベースをインストールします。
sudo apt install mysql-server
完了したら、セキュリティ設定も実行します。
sudo mysql_secure_installation
パスワード設定、匿名ユーザー削除、テストDB削除などが行われます。
ここを疎かにすると、セキュリティリスクが高まるので必ず実施してください。
PHPのインストールと動作確認
PHPとそのApache連携モジュールをインストールします。
sudo apt install php libapache2-mod-php php-mysql
正しく動作しているか確認するには、以下のコマンドでPHPファイルを作成します。
echo "<?php phpinfo(); ?>" | sudo tee /var/www/html/info.php
その後、ブラウザでhttp://localhost/info.php
(または http://あなたのIPアドレス/info.php
)を開きます。
PHPのバージョンや設定情報が表示されればOKです。
WordPressのダウンロードと設置
LAMP環境が整ったら、いよいよWordPressを取得し、Webサーバーに設置していきます。
ここでは、WordPressの公式サイトから最新版をダウンロードし、ファイルの配置とパーミッション設定を行います。
WordPressの最新ファイルを取得
cd /tmp curl -O https://wordpress.org/latest.tar.gz tar xzvf latest.tar.gz
※常に最新バージョンが取得されるURLです。
※作業ディレクトリが/tmp
なのは、不要ファイルを残さないためです。
WordPressファイルの配置
次に、解凍されたファイルをApacheの公開ディレクトリにコピーします。
sudo cp -a wordpress/. /var/www/html/ sudo chown -R www-data:www-data /var/www/html sudo chmod -R 755 /var/www/html
www-data
はApacheのユーザーです。権限を正しく設定しないと、後のインストール時にエラーとなることがあります。
データベースの作成
WordPress用のデータベースを作成します。
sudo mysql -u root -p
ログイン後、以下を実行してください。
CREATE DATABASE wordpress DEFAULT CHARACTER SET utf8mb4 COLLATE utf8mb4_unicode_ci; GRANT ALL ON wordpress.* TO 'wpuser'@'localhost' IDENTIFIED BY 'securepassword'; FLUSH PRIVILEGES; EXIT;
※ユーザー名wpuser
とパスワードsecurepassword
は適宜変更してください。
※このDB名・ユーザー名・パスワードは後で使用します。
WordPressのインストール設定
ここでは、WordPressのセットアップ画面で行う操作と、手動設定時のwp-config.php
の編集方法を解説します。
初心者でも失敗しないよう、注意点も詳しく補足しています。
インストールスクリプトの実行
ブラウザであなたのサイトのURL(http://localhost
や http://あなたのIPアドレス
など)にアクセスしてください。
セットアップ画面が表示されるので、以下の情報を入力します。
- サイト名
- 管理者ユーザー名・パスワード
- メールアドレス
- 検索エンジンの表示設定(サイトが完成するまではチェック推奨)
完了後、WordPressのダッシュボードにログインできるようになります。
wp-config.phpの編集(手動の場合)
自動設定がうまくいかない場合は、以下のように手動で設定ファイルを作成します。
まず、WordPressを設置したディレクトリ(/var/www/html
)に移動します。
cd /var/www/html sudo cp wp-config-sample.php wp-config.php
次に、作成したwp-config.php
ファイルを開き、以下の部分を編集してください。
define( 'DB_NAME', 'wordpress' ); define( 'DB_USER', 'wpuser' ); define( 'DB_PASSWORD', 'securepassword' ); define( 'DB_HOST', 'localhost' );
※この情報は、前の手順で作成したデータベース情報と一致させる必要があります。
※securepassword
などは、第三者に推測されにくい強固なパスワードを使いましょう。
セキュリティとパフォーマンスの基本設定
インストール直後のWordPressは、まだセキュリティ的に不十分です。
ここでは、最低限やっておくべき設定と、役立つプラグインを紹介します。
SSL対応(HTTPS)の導入
Let’s Encryptを使えば、無料でSSLを導入できます。
sudo apt install certbot python3-certbot-apache sudo certbot --apache
※コマンド実行後、ウィザードに従って対象のドメインを選択し、設定を進めてください。
SSL化すると、SEO評価が上がるだけでなく、ユーザーの信頼性も向上します。
ファイアウォール設定
以下のコマンドでApache用ポートを開放します。
sudo ufw allow in "Apache Full"
これを設定しないと、外部からWebサイトが閲覧できなくなる可能性があります。
データベースの定期バックアップ
プラグイン「UpdraftPlus」は以下の特徴があります。
- Google DriveやDropboxと連携可能
- 自動スケジュール設定が可能
- ワンクリック復元対応
万が一に備えて、定期バックアップは必須です。
ログインURLの変更
WordPressのログインURLは初期状態だと /wp-login.php
です。
これを狙った攻撃を防ぐには、「WPS Hide Login」がおすすめです。
- 任意のURLに変更可能
- ロボットのアクセスを大幅に減らせる
- プラグイン有効化だけで使える手軽さ
よくあるエラーとその対処法
最後に、インストール中によくあるトラブルと、その対処法をまとめます。
「なぜエラーが出るのか?」を理解すれば、慌てず冷静に対応できます。
パーミッションエラー
- 原因:ファイルやディレクトリの権限設定ミス
- 対処法:以下のコマンドで権限を再設定します。
sudo chown -R www-data:www-data /var/www/html
この設定を見直すだけで、インストールが正常に進むこともあります。
データベース接続エラー
- 原因:
wp-config.php
の接続情報が間違っている - 対処法:
- データベース名やパスワードの綴りを再確認
- MySQLのサービスが起動しているか確認
sudo systemctl status mysql
ページが白く表示される
- 原因:PHPエラーやテーマのバグ
- 対処法:以下のコマンドでApacheのエラーログを確認します。
sudo tail -f /var/log/apache2/error.log
エラー内容を確認し、プラグインの無効化やテーマ変更を試みてください。
まとめ



本記事を参考にしながら、自分の手でWordPress環境を構築してみましょう。実践が一番の学習です。挑戦したその先に、あなたのオリジナルサイトが待っています。