
WordPressでサイトをカスタマイズしたいのに、思ったように「ヘッダーが編集できない」と感じることはありませんか?この記事では、初心者の方でも理解できるよう、原因と対処法をわかりやすく丁寧に解説します。
WordPressの「ヘッダー編集できない」とは?
WordPressで「ヘッダーを変えたいのに編集できない…」というケースは少なくありません。ここでは、その”できない理由”と”ヘッダーとは何か”を明確にしましょう。
「ヘッダー」とは何を指す?
WordPressにおける「ヘッダー」とは、基本的にサイトの最上部にあるエリアを指します。ロゴやサイト名、グローバルメニューが表示されていることが多く、訪問者に強く印象を与える重要な部分です。
具体的には、以下のような要素が含まれます:
- サイトロゴまたはサイト名
- ナビゲーションメニュー
- 検索フォーム
- 連絡先情報
- ソーシャルメディアアイコン
- 背景画像やキャッチコピー
これらの要素の配置や表示内容を変更することを「ヘッダー編集」と呼びます。
「編集できない」と感じる主なケース
多くの初心者の方が「編集できない」と感じるのは、以下のような状況です:
- ロゴやメニューを変更できない
- 背景画像や色が変えられない
- 「カスタマイズ」画面に該当項目がない
- 編集したつもりなのに反映されない
- 思ったようなレイアウトにならない
このような状況で、「編集できない」と判断してしまうケースが多くあります。しかし、実際には編集可能な場合がほとんどです。
WordPressテーマによって異なる事情
使用しているテーマによって、ヘッダーの編集範囲や方法は大きく異なります。無料テーマと有料テーマ、FSE対応か否かなどが関係しているため、テーマの仕様を知ることが最初の一歩です。
また、テーマ開発者の設計思想により、カスタマイズの自由度は大きく左右されます。シンプルなテーマほど制限が多く、多機能なテーマほど自由度が高い傾向にあります。
まず確認すべき3つの基本ポイント
ヘッダーが編集できないと感じたら、まずは以下の基本的な項目を確認しましょう。操作ミスや設定の誤解が原因のことも多く、冷静にチェックすることが大切です。
外観メニューの「カスタマイズ」を確認
WordPress管理画面の「外観」→「カスタマイズ」に進むと、テーマが用意した設定画面に入れます。ここに「ヘッダー画像」「サイトアイデンティティ」「メニュー」などがあるかを確認しましょう。
カスタマイズ画面では、リアルタイムプレビューでサイトの変更を確認できます。設定を変更した後、「公開」ボタンを押すまで変更は保存されないので注意が必要です。
固定ヘッダーと画像ヘッダーの違い
「固定ヘッダー」はページのスクロールに追従するタイプで、コード編集が必要な場合があります。「画像ヘッダー」は表示領域に背景画像を使うものです。これらは機能や編集方法が異なります。
固定ヘッダーの場合、CSSのposition: fixed
プロパティが使われており、テーマファイルの直接編集が必要になることがあります。一方、画像ヘッダーはWordPressの標準機能で、管理画面から簡単に変更できる場合がほとんどです。
キャッシュやプラグインが邪魔していないか
変更しても反映されない場合、キャッシュの影響が考えられます。キャッシュ系プラグインを無効化し、ブラウザキャッシュも削除して再確認してください。
よくあるケースとして、WP RocketやW3 Total Cacheなどのキャッシュプラグインが変更を妨げている場合があります。また、CDN(Content Delivery Network)を使用している場合も、キャッシュのクリアが必要になることがあります。
使用中のテーマによる制限に注意
テーマによっては、そもそもヘッダーを自由に編集できない設計になっていることがあります。その場合の見分け方や対処方法について解説します。
無料テーマ vs 有料テーマの違い
無料テーマの多くは編集機能が制限されており、ヘッダーの変更も「画像の差し替え」程度にとどまることが多いです。一方、有料テーマではレイアウト変更やエリア追加などの自由度が高くなります。
無料テーマでもTwenty Twenty-ThreeやAstraのように高機能なものもありますが、サポートやアップデートの頻度、カスタマイズオプションの豊富さでは有料テーマに軍配が上がります。
ブロックテーマ(FSE)の特徴
最近のテーマには、FSE(フルサイト編集)に対応したブロックテーマが増えています。このタイプでは「外観 → エディター」で直接ヘッダーエリアを編集できます。
FSE対応テーマの場合、従来の「外観 → カスタマイズ」ではなく、「外観 → エディター」からヘッダーを編集します。ここでは、ブロックエディターと同じインターフェースでヘッダーをデザインできるため、直感的な操作が可能です。
テーマによって編集箇所が分かれる理由
同じ「ヘッダー」でも、メニューやロゴ、検索フォームなどの位置がテンプレートで決まっている場合、その構造自体をカスタマイズするにはテンプレートの編集が必要になることがあります。
テーマ開発者は、デザインの一貫性を保つために、意図的にカスタマイズ範囲を制限していることがあります。これは、サイトの品質を保つためでもありますが、ユーザーにとっては制約となる場合もあります。
ヘッダー編集を可能にする実践テクニック
テーマの制限を理解したうえで、実際に編集する方法を解説します。ここでは、初心者の方でも扱いやすい3つの方法をご紹介します。
ウィジェットやメニューの編集で対応する
テーマによっては、ヘッダーにウィジェットエリアがあり、テキストや画像、ナビゲーションを追加できます。「外観」→「ウィジェット」または「カスタマイズ」→「メニュー」で操作可能です。
ウィジェットエリアを活用することで、HTMLの知識がなくても様々なコンテンツをヘッダーに追加できます。例えば、テキストウィジェットでキャッチコピーを追加したり、画像ウィジェットでバナーを配置したりできます。
メニューの編集では、階層構造を作成してドロップダウンメニューを実装することも可能です。「外観」→「メニュー」から新しいメニューを作成し、「メニューの位置」でヘッダーエリアに配置します。
カスタムCSSでスタイルを調整する方法
どうしてもデザインを微調整したいときは、CSSで対応することもできます。以下のようにコードを追加して背景色などを変更できます。
※このコードは一例です。ご自身のテーマ構造に合わせて調整してください。
.site-header { background-color: #333; color: #fff; padding: 15px 0; box-shadow: 0 2px 5px rgba(0,0,0,0.1); } .site-header h1 { font-size: 2em; margin: 0; text-align: center; } .main-navigation { background-color: #444; padding: 10px 0; } .main-navigation ul { list-style: none; margin: 0; padding: 0; display: flex; justify-content: center; } .main-navigation li { margin: 0 15px; } .main-navigation a { color: #fff; text-decoration: none; padding: 5px 10px; border-radius: 3px; transition: background-color 0.3s; } .main-navigation a:hover { background-color: #555; }
カスタムCSSは「カスタマイズ」→「追加CSS」から記述できます。変更は即座にプレビューで確認でき、気に入らなければ簡単に削除できるので、安心して試せます。
子テーマを使ってテンプレートを編集する手順
テンプレートファイル自体を変更したい場合は、子テーマを使うのが安全です。以下は、header.php
をカスタマイズする例です。
※このファイルは親テーマのコピーを使用し、子テーマに配置してください。
<?php /** * カスタムヘッダーテンプレート */ ?> <!DOCTYPE html> <html <?php language_attributes(); ?>> <head> <meta charset="<?php bloginfo( 'charset' ); ?>"> <meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1"> <title><?php wp_title(); ?></title> <?php wp_head(); ?> </head> <body <?php body_class(); ?>> <header class="site-header"> <div class="container"> <div class="header-content"> <div class="site-branding"> <?php if ( has_custom_logo() ) : ?> <?php the_custom_logo(); ?> <?php else : ?> <h1 class="site-title"> <a href="<?php echo esc_url( home_url( '/' ) ); ?>"> <?php bloginfo( 'name' ); ?> </a> </h1> <?php endif; ?> <?php if ( get_bloginfo( 'description' ) ) : ?> <p class="site-description"> <?php echo get_bloginfo( 'description' ); ?> </p> <?php endif; ?> </div> <nav class="main-navigation"> <?php wp_nav_menu( array( 'theme_location' => 'primary', 'menu_class' => 'primary-menu', 'container' => false, ) ); ?> </nav> </div> </div> </header>
子テーマを使用する際は、まず子テーマのディレクトリを作成し、style.css
とfunctions.php
を作成します。その後、カスタマイズしたい親テーマのファイルをコピーして編集します。
高度なカスタマイズテクニック
基本的な編集方法をマスターしたら、より高度なカスタマイズにチャレンジしてみましょう。
フックを使った動的なヘッダー変更
WordPressのフック機能を使うことで、プログラム的にヘッダーを変更できます。以下は、特定のページでヘッダーを変更する例です。
// functions.php に追加 function custom_header_for_specific_page() { if ( is_page( 'about' ) ) { // About ページ専用のヘッダーを表示 echo '<div class="special-header">特別なヘッダー</div>'; } } add_action( 'wp_head', 'custom_header_for_specific_page' ); // 条件分岐でヘッダーの色を変更 function conditional_header_styles() { if ( is_home() ) { echo '<style>.site-header { background-color: #ff6b6b; }</style>'; } elseif ( is_single() ) { echo '<style>.site-header { background-color: #4ecdc4; }</style>'; } } add_action( 'wp_head', 'conditional_header_styles' );
プラグインを使ったヘッダー管理
Header Footer Code ManagerやInsert Headers and Footersなどのプラグインを使うと、コードを直接編集することなく、ヘッダーに要素を追加できます。
これらのプラグインは、Google Analyticsのトラッキングコードや、カスタムCSS、JavaScriptの挿入に特に便利です。
それでも編集できないときの対応策
上記を試しても改善されない場合は、テーマを変更する、外部ツールを使うなど別の手段が必要になります。
テーマ変更の検討ポイント
自由度の高いテーマに変更することで、簡単にヘッダー編集できるようになる場合もあります。選定時は「FSE対応」「ウィジェット対応」「デモページの自由度」などに注目しましょう。
おすすめのテーマとして、無料ではAstra、GeneratePress、Neve、有料ではDivi、Avada、BeThemeなどがあります。これらのテーマは、豊富なカスタマイズオプションを提供しています。
テーマ変更の際は、以下の点を確認してください:
- 既存コンテンツとの互換性
- SEO設定の引き継ぎ
- カスタマイズ内容の移行可能性
- サポート体制の充実度
また、下記WordPressテーマ変更の記事も合わせてご参考ください。
参考:失敗しない!WordPressテーマの変更 5つのステップと注意点
Elementorなどのページビルダーの利用
Elementorなどのビルダープラグインを使えば、コードを書かずにヘッダーを自由にデザインできます。「Elementor Header & Footer Builder」などの専用アドオンも活用できます。
Elementorの場合、以下の手順でヘッダーをカスタマイズできます:
- Elementorをインストール・有効化
- 「Templates」→「Theme Builder」→「Header」を選択
- 新しいヘッダーテンプレートを作成
- ドラッグ&ドロップでヘッダーをデザイン
- 表示条件を設定して公開
他にもBeaver Builder、Visual Composer、Brizyなどのページビルダーも同様の機能を提供しています。
専門家に相談するタイミングとは?
どうしても解決できない場合は、無理に自力で進めず、外部の専門家に相談することも検討しましょう。クラウドソーシングや制作会社に依頼することで、時間の節約にもつながります。
専門家に依頼する際の目安:
- 自分で調べても解決策が見つからない
- カスタマイズに必要な時間が予想以上にかかる
- 複雑な機能追加が必要
- サイトの破損リスクを避けたい
料金相場としては、簡単なヘッダー修正で5,000円〜15,000円程度、複雑なカスタマイズで20,000円〜50,000円程度が一般的です。
トラブルシューティング
ヘッダー編集時によく発生する問題と解決方法をご紹介します。
画像が表示されない問題
ヘッダー画像が表示されない場合、以下を確認してください:
- 画像ファイルのパスが正しいか
- 画像ファイルの権限設定
- 画像サイズが適切か
- 対応ファイル形式(JPEG、PNG、GIF)か
レスポンシブデザインの問題
スマートフォンでヘッダーが崩れる場合は、以下のCSSを追加してみてください:
@media (max-width: 768px) { .site-header { padding: 10px 0; } .site-header h1 { font-size: 1.5em; } .main-navigation { display: none; } .mobile-menu-toggle { display: block; } }
メニューが機能しない問題
メニューが正しく機能しない場合は、以下を確認してください:
- メニューの位置設定が正しいか
- メニュー項目が適切に設定されているか
- JavaScriptエラーが発生していないか
まとめ



WordPressの「ヘッダーが編集できない」という悩みは、テーマや設定の知識不足からくるケースがほとんどです。まずはカスタマイズ画面やテーマの構造を見直し、段階的に対応策を講じていくことが大切です。
重要なポイントをまとめると:
- テーマの仕様を正しく理解する
- 基本的なカスタマイズ方法を試す
- 必要に応じて専門家の力を借りる
- 常にバックアップを取ってから作業する
自力での編集が難しい場合も、プラグインやテーマ変更、専門家への相談などで乗り越えることができます。焦らず一歩ずつ進めて、自分の理想に近づけていきましょう。
最終的には、訪問者にとって使いやすく、印象的なヘッダーを作成することが目標です。技術的な制約に負けず、創造性を発揮して素晴らしいサイトを作り上げてください。